法定相続人がいない場合の手続き
1 法定相続人がいない場合、財産はどうなるのか
相続が発生すると、戸籍収集・遺産分割協議書の作成・金融機関での相続手続きなど、多岐にわたる手続きを行わなければなりません。
このような相続手続きは、相続人が行うのが原則です。
相続人がいないからといって、相続手続きをしないままでいると、様々な問題が起こることもあります。
では、被相続人に法定相続人がいない場合、相続手続きはどうすればよいでしょうか。
被相続人に法定相続人がいない場合であっても、その遺産は直ちに国のものになるわけではありません。
民法は、このような場合に備えた段階的な手続きを定めています。
手続きとしては、①相続財産清算人の選任、②債権者・受遺者への弁済、③特別縁故者への財産分与の申立て、④残余財産の国庫帰属という流れで進んでいきます。
なお、令和5年施行の民法改正により、「相続財産管理人」の名称が「相続財産清算人」へ改められました。
従来の制度と実質的な役割は変わりませんが、名称変更に注意が必要です。
2 相続財産清算人とは
法定相続人が不存在の場合、利害関係人(債権者・特別縁故者となりうる者など)または検察官の請求により、家庭裁判所が相続財産清算人を選任します(民法952条)。
実務上は弁護士が選任されることが多く、選任申立ての際には予納金の納付が必要です。
予納金の額は遺産の規模等によって異なりますが、数十万円から百万円超になることもあります。
3 特別縁故者への財産分与
相続財産清算人が選任された後、一定の公告期間が経過してもなお相続人が現れない場合、被相続人と特別の縁故があった者(特別縁故者)は、家庭裁判所に対して財産分与を申し立てることができます(民法958条の2)。
特別縁故者として認められるのは、「被相続人と生計を同じくしていた者」「被相続人の療養看護に努めた者」「その他被相続人と特別の縁故があった者」とされています。
内縁のパートナーや、長年にわたって身の回りの世話をした友人・知人なども対象になりうる点が重要です。
ただし、財産分与は家庭裁判所の裁量によるため、申立てが認められるかどうかは個別の事情によります。






























